丸山眞男『現代政治の思想と行動』 未来社

政権交代を機に、丸山眞男なんかを久々に読んでみた。
民主主義(に限らないが)にとって必要なものは、ものごとをある時点で決断すること。そして何かを決断するということは、ある可能性を断念することに他ならない。

p449
…われわれは一つ一つの社会的な行動が、一定の傾向性にコミットするという意味を、どうしてももつということであります。この場合の行動ということには、静観している、つまり不作為ということも含まれます。

p450
…こういう状況のなかで私たちは、日々に、いや時々刻々に、多くの行動または不行動の方向性のなかから一つをあえて選びとらねばならないのです。

p452
…しかしながら他方決断するということは、この無限の認識過程をある時点において文字通り断ち切ることであります。

p455
…そういうところから私たちの認識はつねに一定の偏向を伴った認識です。むしろ偏向を通じないでは一切の社会事象を認識できない。ここでも問題は、偏向をもつかもたないかではなくて、自分の偏向をどこまで自覚して、それを理性的にコントロールするかということだけであります。

p457
…つまりそれは不作為の責任という問題です。しないことがやはり現実を一定の方向に動かす意味を持つ。不作為によってその男は、ある方向を排して他の方向を選びとったのです